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「雨具を持つ判断基準」

〜「@oshirin116さん」から投稿されたフアン〜

『雨降って傘忘れたら、コンビニで傘買ってまうから、傘が増える一方。。orz
もったいないー!笑 みんなどうしてるんやろ?』

古くより日本には「濡れぬ先の傘」「降らぬ先の傘」ということわざがあり、“雨に濡れる前に傘をさす”という意味で、手回しよく準備しておくことの例えとして使われます。
@oshirin116さんが手回しよく準備できるように、オリックス生命全社員と“気象のプロ”ウェザーニューズ社の皆さまに聞いてみました。(本記事では、プロフェッショナル=「プロ」、アマチュア=「アマ」と表記)

雨具(傘・合羽など)を持って出掛けるときの判断基準は?
ビニール傘は自宅に何本ある?
ビニール傘を増やさない秘訣は?

*世界各国で気象サービスを提供する民間の気象予報会社・ウェザーニューズ社の皆さまにご協力いただきました。

シマスマ

気象のプロとアマの分かれ目(境界線)で見えた結論は、「雨雲レーダーを見て判断すれば、予想外の雨に遭遇することも少なくなるから、そんなに傘も増えない」ということだ。詳しい解説は、BAKU BAKUに任せた!

BAKUBAKU

シマウマくん、ウェザーニューズ社の大澤さんと安井さんに話を聞いてきたよ。今回ボクが特に注目したのは、“最も重要視する判断基準”。いろいろと興味深い話が聞けたから紹介するね!

天気予報は「雨雲レーダー」に注目しましょう!

ウェザーニューズ社の気象予報士・大澤慎吾さん(左)と
広報・安井百合愛さん

外出時に傘を持って行くか否かを判断するポイントとして、皆さんは天気予報のどこに注目しますか?オリックス生命(以下、OLI)社員の皆さんを対象としたアンケート結果と同じく、「降水確率」や「天気マーク」に注目する人がほとんどではないでしょうか。
しかし、気象のプロである私たちウェザーニューズ(以下、WNI)社員の判断ポイントは、ちょっと異なります。
OLIと同じアンケート調査をWNIでも行ったところ、最も多い回答はOLIと同じ「天気マーク(晴れ・曇り・雨)」でしたが、2位は「雨雲レーダー」(OLIでは7位)。一方、OLIで2位にランクインした「降水確率」は、WNIでは6位にとどまっています。つまり、私たちWNI社員は、過去の気象データに基づく「降水確率」よりも、時々刻々変化する「雨雲レーダー」の解析結果を重視して、雨具を持参するか否かを判断していることになります。
雨雲レーダーとは、気象レーダーの1つで、地上のアンテナから電磁波を放射し、反射して返ってくる電磁波を分析することで、雨雲の位置や密度などを観測するものです。TVやネットニュースの天気予報では、リアルタイムの雨雲の位置だけでなく、今後の雨雲の動き(予想)も時間を追って表示されるケースが多いので、ぜひチェックしてみてください。雨雲がかかるエリアでは降雨の可能性があるので、仮に天気予報の降水確率が低かったとしても、雨具を持って出掛けることをオススメします。

天気予報だけでなく、“視覚”と“肌感覚”をフル活用しましょう!

次にオススメしたいのが、皆さんご自身の“視覚” と“肌感覚”を大切にすることです。特に梅雨から夏の時期、「晴れ」や「曇り」の予報なのに、局地的に突発的な雷雨が起きる「ゲリラ雷雨」の対策では、この“視覚”と“肌感覚”が非常に役立ちます。例えば、天気予報が「晴れ」なのに、どことなく空気がじめじめしているな~と感じたら要注意。空気中に水蒸気が多く含まれていることを意味します。この水蒸気は雲の材料のようなものですから、『水蒸気が多い→雲が発生・発達しやすい→ゲリラ雷雨が発生しやすい』ということになります。「じめじめしている」と感じたら、雨具を持って出掛ける習慣を身につけてください。
また、ゲリラ雷雨の直前には、雲に異変が起こります。空を見上げて、さっきまで白かった雲の色が黒っぽく変わっていたり、形がソフトクリームのように立体的に盛り上がっていたら、雲が急速に発達している証拠。ゲリラ雷雨に遭う可能性が高いので、家にいる場合は窓を閉める、洗濯物を取り込むなどの対策を。外出中であれば、近くに雨宿りができる場所を見つけるなどしましょう。
ちなみに、WNIでは基本的に、晴れの予報であっても、ゲリラ雷雨の可能性があると判断したときには、「晴れ」マークに小さく「雨」マークを併記するなどして注意喚起を行っています。ぜひチェックしてみてください。

スマホに天気予報アプリを入れて、いつでもどこでもリアルタイム情報をGET!

皆さんは、天気予報に関する情報を、どのように入手していますか?最も一般的なのは、TVやラジオ、ネットニュースだと思います。TVやラジオでは、キャスターや気象予報士が分かりやすく予報内容を説明してくれますし、ネットニュースではいつでも記事を読むことができて便利です。しかし、その予報は必ずしも“最新”の情報であるとは限りません。キャスターが読み上げる原稿やネットニュースの記事を作るための時間が必要ですから、その元となる気象データはどうしても少し古い情報となってしまいます。もちろん、それで十分事足りることがほとんどですが、台風やゲリラ雷雨など天気の急変が起きる場合では、やはり情報は新しければ新しいほど役に立ちます。

最近、WNIが注力しているのが、スマホやSNSなどの通信技術を活用した、情報の“シェア”と“発信”の仕組みです。WNIでは自社のスマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」上で、2008年以降、毎年7~9月の間「ゲリラ雷雨防衛隊」というコミュニティを運営しています。このコミュニティでは、ゲリラ雷雨の被害を最小限に抑える目的で、全国約10万人の隊員(=登録ユーザー)から寄せられる雲の写真や情報、そして全国3,000カ所の気象観測データを元に、独自開発のAI技術やアルゴリズムを活用して解析。ゲリラ雷雨が発生する可能性が高いエリアを割り出し、登録ユーザーの皆さんに知らせる仕組みです。
2016年にこのコミュニティに寄せられた雲の報告は50万通以上で、過去最高を記録。通知サービスの登録者16万4,000人に対して、全国平均で発生の59分前までにゲリラ雷雨の危険を通知することができました。
これまで天気予報は、一般的にTVやラジオなどを通じて気象のプロから教えられるもの、という位置付けだったと思いますが、WNIでは“ゲリラ雷雨防衛隊”で「一般ユーザーの皆さんと私たち気象のプロがコラボして、共に創り上げていく天気予報」という新しいスタイルを作り上げたと自負しています。今年の夏は、ぜひ皆さんも「ゲリラ雷雨防衛隊」の一隊員となって、一人でも多くの人をゲリラ雷雨の被害から一緒に守りませんか?もちろん、ご自身のゲリラ雷雨対策にもお役立ていただけます。
天気について知るためには、日頃から、空に漂う雲の色や形・動きに目を向けることが大切です。そうすれば、予想外の大雨に遭って、慌ててビニール傘を買う羽目となり思わぬ出費…ということも激減するはず。何より、空を見上げて天気のことを考えていれば、日常のイヤなことも忘れることができて、気持ちが晴れるかもしれませんよ!

“空を見上げて、そこに漂う雲を見る”なんて、とても素敵な解決策だよね!でも、ソフトクリームみたいにおいしそうな雲が浮かんでいたら、ボクのお腹が鳴ってしまうかも・・・。みんなも日頃から雲をウォッチしてみてね!