File 017

「日焼け対策」

〜「コテツさん」から投稿されたフアン〜

『紫外線が気になる季節。シミそばかす増やしたくない〜。どんな日焼け対策すればいいの?』

近年の地球温暖化の影響で、陽射しや紫外線がとても強くなっているといわれています。うっかり何もしないで外出すると、日焼けしてしまって大変なことになりますよね。
そこで、効果のあると思う日焼け対策と、併せて効果がないと思う対策をオリックス生命全社員に聞いてみました。

やはり効果がある対策では「日焼け止めを塗る」という回答が圧倒的でした。中には「日焼けマシンで紫外線に強い肌を作っておく」などユニークな回答もありましたが、はたして効果があるのでしょうか。

フクロウ

ほう、森の中にいるワシとしては、日焼けは全く気にならんのじゃが。みんなが「正しい日焼け対策」ができるように、専門医のDr杉野に聞いてくるとしよう!

シミだけじゃない!日焼けには、こんなリスクも…

Q: 「日焼け」したとき、皮膚には何が起きているのじゃ。
日焼けとは、紫外線を過剰に浴びた皮膚が赤くなり、皮膚細胞がメラニン色素を作り過ぎて黒くなった状態をいい、その症状には大きく分けて次の2つがあります。

Point1サンバーン(炎症反応)

皮膚が赤く炎症を起こす急性症状。腫れやヒリヒリとした痛みを伴う。

Point2サンタン(色素沈着)

メラニン色素が沈着し、皮膚が褐色になる症状。数カ月間症状が持続することもある。

また、慢性的に日焼けを繰り返してしまうと、紫外線によって皮膚のシミやシワ、たるみなどのいわゆる「光老化」が促進されてしまうほか、遺伝子が損傷を受けて皮膚がんのリスクが大きくなってしまいます。日焼け対策は、美容のためだけではなく皮膚の健康維持のためにも非常に重要なのです。


Q: 紫外線にはいろんな種類があると聞いたのじゃが。
紫外線には、UVA、UVB、UVCがあり、それぞれ次のような特徴があります。

  • UVA(紫外線A波、長波長)⇒光老化の原因
    地表に届く全紫外線のうち約95%を占める。浸透力が強く、皮膚の深部・真皮にまで到達して、皮膚に張りや弾力を生むコラーゲンやエスラチンに損傷を与える。結果として光老化(シミ、シワ、たるみ)の原因に。 雲や窓ガラスによって遮られない性質なので、曇りの日や室内でも注意が必要。
  • UVB(紫外線B波、短波長)⇒日焼け、シミ、光老化の原因
    地表に届く全紫外線の約5%を占める。一部は肌の深部まで到達するが、主に肌の表面で吸収され、表皮の細胞を損傷してサンバーンやサンタン、シミやソバカスの原因にもなる。
  • UVC(紫外線C波)
    オゾン層に吸収され、地上に届かないので、肌への影響はない。

このうち、UVAは浴びても炎症などが起こりにくいため、影響を受けていることに気づかないケースが多く、「うっかり日焼け」の原因になりがちなので、注意が必要です。

SPFとPAの違いを知って、日焼け止めクリームを使い分けよう

Q: 効果的に紫外線の影響を防ぐ方法とはなんじゃ。
もっとも手軽な方法としては、日常的に日焼け止めクリームを使用することです。特に、紫外線にさらされやすい顔や手の甲には季節を問わず、使用したほうがいいでしょう。 日焼け止めクリームを選ぶ際は、パッケージに書かれている「SPF」「PA」の表示に注目してください。

Point1SPF

SPFは、サンプロテクションファクター(Sun Protection Factor)の略で、主にUV-B(紫外線B波)の防止効果を表す。「約20分の間に、素肌と比べて日焼けが始まるまでの時間を何倍に伸ばすことが出来るか」の目安となる。例えばSPF30の場合、20分×30=600分=10時間なので、塗ってから10時間までは日焼けが抑制されることを示す。

Point2PA

PAは、プロテクション グレイド オブUVA(Protection Grade of UVA)の略で、日焼けやシワやたるみの原因となる紫外線 A 波( UVA )の防止効果を表す。効果の高い順に++++、+++、++、+の4段階がある。

屋外で過ごす時間が長い日はSPFの高いものを、屋内で過ごす時間が長い日はSPFの低いものを…という具合に、ケースバイケースで使い分けるとよいでしょう。光老化が気になる方は、PAの高いものを意識して選ぶことをお勧めします。
また、日本ではまだ男性の日焼け予防に対する意識が低く、日常生活ではもちろんゴルフやレジャーの際にも日焼け止めクリームを塗る習慣がない人が多いようです。皮膚がんリスク低減のためにも、男性のみなさんもぜひ日焼け止めクリームの使用を習慣にしてください。

適度に日光を浴びることも大切。日焼け後は体の内外両面からのケアを

Q: うっかり日焼けをしてしまったらどうしたらいいのじゃ。
まずは日焼けによる炎症を抑えることです。水で濡らしたタオルなどを日焼けした部分にあてて熱をとる、専用のローションを塗るなどの処置を行いましょう。通常、皮膚の赤みは数時間~数日、日焼けによる皮膚の褐色化も数日から数ヵ月で収まります。
万が一、水膨れや色素沈着、シミができてしまった場合は、できるだけ早く専門医に相談を。後悔しないためにも、専門医の診断を受け、必要があれば軟膏療法、レーザー治療やビタミンC導入など、症状にあった治療法を提案してもらいましょう。

また、日焼け後のダメージを抑えるためには、体の中からのケアも非常に大切です。
皮膚の再生を促すビタミンAやビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール等を多く含む食材(緑黄色野菜や青魚など)を意識して摂るようにしてください。また、アスタキサンチンなど抗酸化作用のあるサプリメントも活用しましょう。
いずれにせよ、日焼けしてしまってから慌ててケアをするよりも、なるべく日焼けをしないように予防する方が賢明です。
ただし、日焼け対策に熱心になる余りに、日光を避けすぎるのも問題です。紫外線には、骨の成長を助けるビタミンDの形成、うつ病や自閉症の症状緩和、認知症の予防など、人体に良い影響を与えることもわかっています。心身の健康維持や骨粗しょう症予防のためにも、1日に少なくとも10分は日光を浴びるように心がけてください。

フクロウ

なるほど。紫外線は健康維持に欠かせないものでもあるんじゃな。Dr.杉野の解説にもあるように、日光とうまく付き合いながら日焼け対策を心がけて、元気に楽しく、そして美しく夏を楽しむことじゃな。

まとめ

  • 日焼け対策としてアンケート結果①〜⑥すべて効果あります。その中でも基本は「日焼け止め」の活用
  • 日焼け止めは、ライフスタイルやその日の予定で使い分けよう
  • 日焼け後のケアは体の内外両面から行う
  • 色素沈着やシミには、専門医による早めのケアを
  • 紫外線は健康維持に不可欠。1日10分は日光を浴びよう

杉野宏子先生プロフィール

青山エルクリニック院長。順天堂大学医学部卒業後、同大学医学部形成外科講師等を経て、平成15年に青山エルクリニック院長に就任。機器を用いた切らないたるみ治療、皮膚再生治療やスレッドリフト手術などのアンチエイジング美容医療やサプリメント、食事療法についての学会発表や講演など多数。形成外科専門医、医学博士。
http://www.aoyama-eluclinic.com/