〜「1月26日さん」から投稿されたフアン〜
春は進学や進級、または就職や部署の異動などをきっかけに、新しい環境での生活を始める人が多い季節。これまでとは生活リズムや仕事の進め方が変わってしまい、いつもの調子が出ないという人も多いのでは?
または、慣れない環境で本来の実力を発揮できず、ミスやトラブルを起こしてしまい、ネガティブな気持ちになってしまっている人も少なくないでしょう。
「自信」とは、自分の価値や能力を信じること。自分で自分を信頼している心の状態を指します。
つまり、自信をもって行動しているとき、自分を信頼することができているのです。逆に自信が持てないとき、自分を信頼することができない状態にあります。例えば、毎日やっている仕事なら「大丈夫、慣れているから簡単にできる」と自分の能力を信じることができるので、自信を持って取り組むことができますよね。でも、未経験の仕事の場合は、自分にその仕事ができるかどうかわからないので、「自分にはできない」とか「失敗が怖いからやりたくない」と思ってしまいがちです。
また、人間関係においても、「私の価値をみんなが認めてくれている」と信じられる環境でなら、人は堂々と自信をもって過ごすことができます。しかし、「自分の価値が認められていない」、もしくは「自分の価値が認められているかどうかわからない」という状況では、なかなか自信を持てませんよね。
その意味で、自信が持てるか否かは「自己肯定」ができるか否かにかかっているといってもよいでしょう。
先ほどお話したとおり、自信が持てるか否かは、自己肯定ができるか否かにかかっています。なので、一般的には、自分の価値を認めてもらえる環境で育った人は自信を失いにくく、逆に、自分の価値を認めてもらえない環境で育った人は、自分に自信をもてないケースが多いと言われています。そう、自信の有無は、決して生まれつきのものではないんですよ。その証拠に、人はいつだって自信を取り戻し、ポジティブに生きることができます。私自身も、一度、自分の生き方に迷い、すっかり自信を無くしてしまったことがあるのですが、時間をかけて自分の強みは何か?と考え、今は自信たっぷりとまではいきませんが、自分を信じて生きられるようになりました。
自信を持って、ポジティブに暮らすためのヒントをいくつか紹介しますね。ただし、全部やる必要はありません。自分にできそうなことから始めてみてください。
寝る前にその日1日を振り返り、良かったことや嬉しかったことを3つ書き出す習慣をつけましょう。例えば「たまたま入ったカフェのコーヒーが美味しかった」「ホームに着いたら、ちょうど電車が来た」など、些細なことでもOK。続けているうちに、つまらないと思いがちな日常生活が、実は小さなラッキーな出来事に満ちていることに気づくはず。同時に、人や物事の良い面をみる習慣が身につくので、ポジティブで前向きな気持ちで周囲と向き合えるようになります。
ポイントは、必ず寝る直前に行うこと。寝る直前に見聞きしたことは記憶や意識に残りやすいので、夜に「今日はいい1日だったな~」と思いながら眠りにつけば、次の朝もポジティブな気持ちで1日のスタートを切れるはずです。逆に落ち込んだまま眠りにつくと、ネガティブな気持ちで朝を迎えがちに。必ず気持ちをリセットしてから、眠りにつくようにしてください。
自信を失っているときには、とにかく自分の失敗や欠点にばかり注目してしまいがちに。確かに、失敗や欠点を直視することは大切ですが、いつまでもそれにとらわれていると、前に進めません。欠点や失敗は素直に受け止めた上で、自分の長所や過去の成功体験にも目を向けましょう。自分の長所がわからない人は、過去に人に褒められた経験を思い出して書き出してみたり、家族や身近な友人に「私の長所って何?」と聞いてみるのもいいですね。
自分より優れている人、自分より上手くいっている人を見て落ち込んでしまうこともありますよね。「あの人はあんなに素敵なのに、自分は欠点だらけ」と思い込んだり、「どうせあの人にはかなわないから、私は何をやっても無駄だ」とネガティブになったりしてしまいがちです。でも、他人と自分を比較することほどナンセンスなことはありません。私たちには他人を変える力はありませんが、自分自身を変える力はあります。どうにもできない相手のことを考えるより、自分自身をよりよくする、より楽しく生活することを考えるようにしましょう。
自分に自信が持てないとき、早く周囲に認めてもらいたくて仕事や勉強を頑張り過ぎてしまうこともあります。もちろん、頑張ること自体は素晴らしいのですが、あまりに度が過ぎると、心身ともに疲弊して、「私はこんなに努力しているのに報われない」と逆にネガティブな思考に陥ってしまいがちです。昼間に仕事や勉強を頑張ったら、夜はしっかり休む、リラックスするなど時間の使い方にメリハリをつけ、気持ちを切り替えて過ごすようにしましょう。
大切なプレゼンやスピーチを任されたときに、自信を持って話せたら、素敵ですよね。でも、人前で話すのは緊張することですし、「失敗したらどうしよう」「話に興味がなかったらどうしよう」という不安は、程度の差はあれ誰にでもあるものです。そんなときに、ぜひ活用してほしいのが、自分だけの「おまじないアイテム」。たとえば、好きな色を「勝負カラー」に決めて、当日はその色の衣類や小物を身に付けたり、お気に入りの写真をスマホに保存してスピーチの前に眺めたりすると、不思議と心が落ち着くものです。私の場合、大切な仕事がある日には、好きな香りのハンドクリームを塗っています。その香りを嗅ぐとリラックスして平常心に戻れるからです。
今は、男女問わずとても忙しい時代です。仕事や家庭・プライベートと、目の回るような忙しい日々を送っている人も多いでしょう。ただ、どんなに頑張っても、よほどのことがないと誰も褒めてくれませんよね。だから「私はこんなに頑張っているのに、誰にも認められない」と落ち込んでしまうのです。そんなときは、自分で自分を褒めてあげましょう!頑張った日には、ちょっと良いワインを飲む、大好きなケーキを1つだけ食べる、という具合に、自分にプチご褒美をあげるのです。
翌日にモヤモヤや落ち込みの気持ちを引きずらないことが大事です!高額なものではなく、身近で取り入れやすいものから始めてください。
何をやっても自信が取り戻せない、ネガティブな気持ちが晴れないときは、転職や引っ越しなどして意図的に環境を変えるのも一案です。自分らしく働ける環境、あるいは新たな趣味に挑戦するなど、自分を肯定してもらえる環境に身を置くことで、少しずつ自分の能力や価値を信じる力を取り戻せるかもしれません。
実は私自身も会社員時代に自信を持つことができず、このまま仕事を続けるべきか悩んでいました。そこで一念発起して会社を辞め、以前から興味のあった臨床心理を学ぶために大学院に進学。当時すでに40歳を超えていた私にとって、とても大きな決断でしたが、これがきっかけで、ネガティブな気持ちから抜け出すことができました。
一見、あまり関係のないことのようですが、ポジティブな気持ちで過ごすためには、規則正しい生活を送ることがとても重要です。生活リズムが崩れている人は、早寝早起き、適度な運動、適切な食生活を心がけてみてください。特に大切なのは、朝の過ごし方。人間に本来備わっている「体内時計」は日光を浴びることで、調整されているので、早起きして日光を浴び、ゆっくり朝ごはんを食べると、よりポジティブな気持ちで1日を迎えることができるでしょう。「そんなの無理!」という人は、ランチタイムに屋外に出て日光を浴びるだけでもOKです。
そうですね。自信を取り戻すために頑張り過ぎるのは、本末転倒。ゆっくりマイペースで継続すると、少しずつ自分が変わってくるのが実感できると思いますよ。
それと最後に、もし周囲に自信を失っている人、落ち込んでいる人がいる場合、安易に「頑張って!」「自分に自信を持て!」などと励ますのは、控えましょう。かえってプレッシャーを与えてしまい、ますます本人を萎縮させてしまうことになります。
特に職場などでは、部下や後輩が失敗して落ち込んでいると、すぐに声をかけたくなりますが、まずは本人が失敗を受け止めて自分なりに「消化」できるまで待ちましょう。そして、落ち着いたころに、さりげなくアドバイスをするのが効果的です。
考えてみると、世の中に100%自信満々の人なんてあまりいませんよね。どんな人も何かしら心に不安を抱えているものですし、挫折や失敗も経験しているはずです。自分に自信がないのは、決して珍しいことではないと、良い意味で割り切って、上手に自分と付き合っていきましょう。
1993年 立教大学経済学部卒業。金融機関、IT関連企業での勤務経験後、国際医療福祉大学大学院 臨床心理学専攻 修士課程 修了。
教育機関での相談員を経て、現在は公立学校スクールカウンセラー、精神科クリニックに勤務。