オリックス生命

子どもから学ぶ「モンテッソーリ教育」

「モンテッソーリ教育で、子育ての予習」

第3回

わが子がよ~く見えてくる!
子育て予習のキーワード『敏感期』

前回予習した発達の4段階の最初「0~6歳の乳幼児期」に色濃く現れるのが『敏感期』といわれるものです。
敏感期というのは、子どもが何かに強く興味を持ち、集中して同じことを繰り返す、限定された時期のことを言い、モンテッソーリ教育では子育ての予習をする上で、とても重要な時期になります。

たとえば、「子どもがなんだか静かだなぁ~?」と思って見てみると、ティシュペーパーを箱からズルズル引っ張り出していることはありませんか?この行動は、世界中のこの年代の子どもが、必ずするものなのです。不思議ですよね?

これを見つけたママは「こんないたずらをして、もったいないでしょ!」と言いながらティシュペーパーの箱を取り上げて子どもの手が届かない棚の上にあげてしまう。これも世界共通の光景なのです。

でも、この行動は、本当にいたずらなのでしょうか?

実はこの年代の子どもの手は、急激に発達して、3本の指がうまく使えるようになってきます。使えるようになったばかりの自分の手を使ってみたい!うまく使えるように練習したい!という強い衝動にかられ、このような行動にでているのです。これを『運動の敏感期』と言います。

そして、目と手が一緒に動くことで、脳神経が活発に働き「いい頭」が出来上がってきている、とても大切な瞬間だったのです。

しかし、親にこういった予備知識がないと「単なるいたずら」にしか見えないのです。そして、わが子の本当の力がグングン伸びている最高の瞬間を、知らないがために邪魔してしまうのです。

これが「子育ての予習」が必要な理由です。

この敏感期を見逃さなければ、わが子の本当の姿が見えてきます。わが子のいたずらが、素敵なキラメキの瞬間に変わります。意味不明な大泣きの、本当の理由が見えてきます。わが子との関係が、劇的に変わります。「親はゆったり、子どもはのびのび」は、こうして実現するのです。
敏感期にはこどもが発する3つサインがあります。親がわが子の敏感期を見逃さないためにその3 つのサインを予習しておきましょう。

『敏感期』の3つのサイン
①静けさ

子どもはなぜ、いたずらをしている時に限って静かなのでしょう?それは、その活動に「集中」しているからこそ静かなのです。声を掛けずに、わが子の目を見てみましょう。これから生きていくために必要な能力を獲得するために、真剣に向き合っている姿がそこにあるでしょう。

②繰り返し

子どもは今の自分の成長に合った活動に出会うと、必ず何回も繰り返します。やっと出来上がったパズルを、またひっくり返して、また一から始めたりするのはこのためです。将棋の藤井棋士が幼少期にモンテッソーリ園で「ハートバック」という、紙を交互に組み合わせてバックを作るお仕事にはまり、来る日も来る日も繰り返し集中して作り続け、その数が100個を超えたことは有名です。彼の現在の集中力はそうした、自分が納得するまで繰り返すことで備わったのでしょう。

※ハートバッグ:2枚の色紙を交互に編みこんで作るハート型のバッグ

③喜び

敏感期にある子どもが、自分がすべき活動に出会い、集中し、繰り返すことで、ドンドン上手になり「喜び」を感じるのです。この瞬間、脳の中枢神経には「ドーパミン」という快感ホルモンが流れます。気持ちがいいから、何回も繰り返すのです。
だから、「ソファーの上でピョンピョン跳ねる」、「エレベーターのボタンを全部押してしまう」、「引き出しを全部開けてしまう」のです。だから、集中し、繰り返し、あんなに嬉しそうに見えるのです。

「静けさ」「繰り返し」「喜び」この3つのサインに注目して、ぜひわが子の敏感期を見逃さないようにしましょう!

なぜなら、敏感期には終わりがあるからです。
「期」というものには、必ず始まりと終わりがあります。敏感期は乳幼児期に色濃く現れ、6 歳を過ぎると段々消えていきます。敏感期を過ぎると、同じ活動をしても「ドーパミン」が出なくなってしまいます。だから、私たち大人は、ティッシュペーパーをズルズル出さないし、ソファーの上でピョンピョン跳ねないし、エレベーターのボタンを全部押さないのです。

大切なことは、集中して、繰り返して、ドーパミンが出て嬉しくてしょうがないこの限られた期間をいかに充実して過ごすかということなのです。

モンテッソーリは「親や教師が子どもの敏感期を見逃すことは、終バスに乗り遅れるようなものだ!」と言っています。
要は、この時期はもう二度とやってこない!ということです。

だから「予習」なのです。過ぎてしまってから「復習」をしても意味がないのです。

今回は『運動の敏感期』を中心にお話ししましたが、幼児期には、さまざまな種類の敏感期がやってきます。今後、他の敏感期も紹介していきます。きっと、わが子の見方が変わって行くことに気づかれるのではないでしょうか。

今回のポイント

①『敏感期』は、「0~6歳の乳幼児期」に色濃く現れる

②『敏感期』は、子どもが何かに強く興味を持ち、集中して同じことを繰り返す、限定された時期のことを言う

③『敏感期』には「静けさ」「繰り返し」「喜び」の3つのサインに注目して、わが子の敏感期を見逃さないようにする

藤崎達宏 プロフィール

日本モンテッソーリ教育研究所認定教師(0~3歳)
国際モンテッソーリ教育協会認定教師 (3~6歳)

外資系金融機関に20年勤務したのちに独立。自らの4人の子育て経験とモンテッソーリ教育を融合した子育て講演会を全国で展開している。 幼稚園、保育園から全国の医師会まで、週末のほとんどが、講演と個別の子育て相談でうまる人気講師。

著書「モンテッソーリ教育で子どもの本当の力を引き出す」は、モンテッソーリ教育の入門書としてベストセラーとなり、台湾での翻訳出版が決定している。

最新作「0~3歳限定の実践版!モンテッソーリ教育で才能をぐんぐん伸ばす」も、豊富な写真とイラストを取り入れた、子育てガイドブックとしてAmazon幼児教育ランキングで1位を記録している。

You Tubeチャンネル「モンテッソーリ教育TV」公開中!
すきま時間でモンテッソーリ教育の本質を効率的に学ぶことができます。コラムの予習・復習にもご活用ください。