オリックス生命

子どもから学ぶ「モンテッソーリ教育」

「モンテッソーリ教育で、子育ての予習」

第6回

頭の良い子の作り方!?
ヒントは指先にあった!

「頭の良い子に育ってほしい。」
親であれば誰もが願うものです。しかし、「頭が良い」とはいったい何なのでしょうか?

ここで、第3回と第4回で紹介した内容を思い出してみましょう。

0~3歳で大切なことは「立ち上がり、歩くこと」でしたね。人類は立ち上がることで、両手を自由に使えるという素晴らしい能力を獲得しました。

立ち上がるとすぐに、机や棚の上にあるものを片っ端から手にするようになります。目が離せない時期ですね。でも、危ないからといって、それらを、手の届かない所にしまってはいけません。この瞬間に、子どもの頭が良くなっているからです。(もちろん、危険なものは片付けましょう)

子どもの動きをよく観察してみてください。例えば、ティッシュの箱を見つけたとします。すると、子どもは手を伸ばし、親指、人差し指、中指の三本の指をつぼめて、ティッシュペーパーをつまみ、ゆっくり引き出します。1枚、2枚、3枚。引き出すたびにドンドン上手になっていきます。この年代の、どの国の子どもも必ずする行動なのです。不思議ですよね?

実はこの時期に、子どもの手の骨が分裂し、複雑な動きが可能になるからなのです。そして、できたばかりの自分の手を「使ってみたい!」「うまく使えるように練習したい!」という強い衝動にかられます。これを「運動の敏感期」といいます。うまくできると「ドーパミン」という快感ホルモンが脳に分泌されます。とても気持ち良いので何度も繰り返し、どんどん上手になっていくのです。


「集中現象」と「目と手の連動」

上の写真は、モンテッソーリ教育の「ピンセットでつまむ」というお仕事をしている様子です。黒豆をピンセットでつまみ、隣の皿に移すという単純作業ですが、この女の子はわき目も振らず、周りがお歌の時間になっても気が付かずに44分間も続けていました。こうした状態を「集中現象」といいます。

そして、この繰り返しによって「目と手が連動」するようになります。この能力は人間にとってとても大切な能力です。
例えば、イチロー選手は、大リーグで多数の偉業を成し遂げましたが、一番注目されたことは、彼の目とバットとの連動のすばらしさにあったといわれています。イチロー選手自身も、目と体の連動の大切さを理解しており、移動先のホテルでは、指定した電球に替えさせて、眼の老化を防いでいたといいます。

人によって「器用・不器用」はさまざまですが、幼少期に、こうした指先を使う細かい活動に没頭する体験をすることでその差が生まれてくるのです。そう考えると、単なるいたずらに見えていた、テッシュペーパーの引っ張り出しも、貴重な体験をしている最中だということがわかってきます。
そうした背景を知らない親は、「また、イタズラして~!もったいないでしょ」といってティッシュの箱を手の届かない場所に上げてしまうのです。親の「予習」がいかに大切か、お判りいただけると思います。

三本の指は「突出した脳」

また、先ほどの女の子は黒い豆を見つめています。この「見る」という行為は、目で捉えた電気信号を脳のスクリーンに映しているということです。そして、脳から「ピンセットで豆をつまめ!」という電気信号を手の筋肉に発しているわけです。このピンセットで豆をつまむお仕事の繰り返しを通して、脳神経細胞の間を、何万回もの電気信号が行ったり来たりするわけです。子どもの脳は未熟なので、最初のうちは電気信号が漏れてしまいます。

豆が上手くつまめないのはこのためですし、小さな子どもの動きがぎこちないのもこのためなのです。

しかし、何回も同じ動作を繰り返し、何回も電気信号が通ると、脳の神経細胞に絶縁体のような膜ができてきて、信号が漏れなくなります。そして、信号の漏れがなくなることによって、電気信号が身体の他の部分へ伝わる速度を速めるのです。

実は、親が子どもに求めていた「頭が良い」の正体はこれだったのです。
そして、最も電気信号が多く流れる時というのは、親指、人差し指、中指の三本指を動かしている時なのです。モンテッソーリはこの三本の指を「突出した脳である」と称したほど大切だと言っているのです。

早期の詰め込み教育は不要

わが子に「良い頭」になってほしいからといって、早期の詰め込み教育などをする必要はまったくないのです。それよりも、三本の指を動かす活動を、繰り返し、気が済むまでやらせてあげることが大切なのです。

しかし、最近の便利な日常生活はこの三本指を使う機会が極端に少なくなってしまっています。モンテッソーリのお仕事には、つまむ、ひっぱる、ねじるなど、三本指を使う活動がふんだんに含まれていて、脳の発達のためには、幼少時代のこうした手指を使うことが大切なのではないか?と、世界があらためてモンテッソーリ教育に注目しているのです。

今回のポイント

整理すると、良い頭を作るには

①三本指をしっかり使うことが必要

②三本指を使うためには、しっかりと立てる体幹が必要

③体幹を育てるためには、たくさん歩くことが大切x体幹を育てるためには、たくさん歩くことが大切

ということになります。


親は、「早く立ってほしい」「早く歩いてほしい」「早く話せるようになってほしい!」と、ついつい、わが子の成長を急がせようとしますが、その時々の成長段階をしっかりと繰り返えさせ、次の段階へと進めていくことが大切なのです。

「次の段階へのステップは、その前の段階をいかに充実して経験してきたかにかかっている」これはマリア・モンテッソーリが唱えた「スモール・ステップス」という理論です。ぜひ、覚えておきましょう。

藤崎達宏 プロフィール

日本モンテッソーリ教育研究所認定教師(0~3歳)
国際モンテッソーリ教育協会認定教師 (3~6歳)

外資系金融機関に20年勤務したのちに独立。自らの4人の子育て経験とモンテッソーリ教育を融合した子育て講演会を全国で展開している。 幼稚園、保育園から全国の医師会まで、週末のほとんどが、講演と個別の子育て相談でうまる人気講師。

著書「モンテッソーリ教育で子どもの本当の力を引き出す」は、モンテッソーリ教育の入門書としてベストセラーとなり、台湾での翻訳出版が決定している。

最新作「0~3歳限定の実践版!モンテッソーリ教育で才能をぐんぐん伸ばす」も、豊富な写真とイラストを取り入れた、子育てガイドブックとしてAmazon幼児教育ランキングで1位を記録している。

You Tubeチャンネル「モンテッソーリ教育TV」公開中!
すきま時間でモンテッソーリ教育の本質を効率的に学ぶことができます。コラムの予習・復習にもご活用ください。