オリックス生命

子どもから学ぶ「モンテッソーリ教育」

「モンテッソーリ教育で、子育ての予習」

第7回

3歳児に起きる大変化。
ここを見逃すな!

モンテッソーリは0歳~24歳までの子どもの時期を6年ごとに4つに分けました。それを、「子どもの発達の4段階」と名付けたことは第2回で紹介しました。

子どもの発達の4段階

そして、その乳幼児期の6年間はさらに前期・後期に分けられます。それをモンテッソーリは「神さまは0~3歳の子どもと、3~6歳の子どもの間に、赤い線を引いたがごとく、お分けになった」と表現しています。
つまり、「3歳を境にして、子どもは変化しますよ」と言うことです。このことを知っておくと、子育てが楽になるだけでなく、人間って素晴らしいな!と、楽しくわが子を見守ることができるようになります。

3歳を境にした3つの変化
①記憶方法

<0~3歳の記憶法=無意識的記憶>
0~3歳までの子どもは、私たち大人とは違う記憶方法を使っています。これを「無意識的記憶」といいます。
見たもの、聞いたもの、触ったもの、味わったもの、嗅いだものすべての感覚を、写真で撮るようにそのまま、意識をせずにドンドン吸収する凄い力があるのです。
この「無意識的記憶」という力があるので、何もできないで生まれてきた赤ちゃんが、わずか3年間で歩き回り、手を使い、(日本でいえば)世界で一番難しいと言われる日本語を、ほぼ自由に操れるようにまでなれるのです。
「潜在意識の力」と言えばわかりやすいでしょうか?
この時期は無意識のうちにたくさんの情報が入りますので、0~3歳までは、できる限り多くの良質な情報のシャワーを浴びることが有効です。
本物を見せ、いろいろなものを触らせ、良質なものを味あわせ、いろいろな匂いを嗅がせるなど、ただ与えるだけで無意識にどんどん吸収していきます。その際には、親はアウトプットを求めないことが大切です。

<3~6歳の記憶法=意識的記憶>
3歳を過ぎると記憶の仕方が私たち大人と同じになってきます。これを「意識的記憶」と言います。「よし、これは覚えておこう。」と意識しながら覚えていきます。
0~3歳が潜在意識であれば、3歳以降は顕在意識といえるでしょう。
ここで重要なポイントは、「無意識的記憶」から「意識的記憶」へは、3歳の誕生日を境にパチンと入れ替わるわけではないということです。
下図のように徐々に入れ替わっていきます。そして、大人になったからといって無意識的記憶がすべて無くなってしまうわけではなく、潜在意識が常に働いていることは、心理学などでも注目される点です。

〈3歳を境にした記憶方法の変化〉

②感覚の敏感期

3歳までに無意識的記憶を使って集められた莫大な情報は、大きな入れ物に無造作に入れられているような状態です。
3歳を過ぎるころになると、この情報をしっかりと整理して、理解したいという、強い衝動に駆られるようになります。
なにを使って理解するのか? それは『五感』です。

視覚、触覚、聴覚、味覚、嗅覚、の五感を使いながら、莫大な情報を「はっきり、すっきり、くっきり」比べたい、分けたい、理解したいと思うようになるのです。
これを「感覚の敏感期」と言います。
3歳が近づくと、五感を使ってしっかりと整理、理解したいという行動をとるようになります。この変化を見逃さないでください。
そのためにも、3つのポイントをおさえておきましょう。

ポイント❶ 「同じ」ものに敏感になる
同じ色、同じ形、同じ触り心地など、同じものにこだわるようになり始めたら、感覚の敏感期の始まりです。「ママとパパ同じ赤のシャツ」「このブロックと、このブロックは同じ形」など、同じということにこだわるようになります。このような行動が現れたら、「そうだね、じゃぁ今日はママと一緒に同じ赤色探しに行こうか」。そんな1日を過ごすと、子どもの感覚はグングン伸びていきます。

ポイント❷ 「くらべる」ようになる
「同じ」に敏感になったら、次は「比較」するようになります。「同じ赤色だけど、こっちの方が濃い赤色だな」「同じ形だけれど、こっちの方が高さが高いな」など。微妙な差にこだわるようになります。この時期の男の子がミニカーを必死になってならべている姿をよく見ますね。

ポイント❸ 「分ける」ようになる
「同じ」ものにこだわり、「比較」し、最終的に「分ける」ようになってきます。例えば、公園などに行くと、よくわからない物を拾いポケットに入れて帰ってきます。しかし、ある時から、どんぐりだけを集めるようになったり、そのうち、丸いドングリは左のポケットに、細長いドングリは右のポケットに分けて入れるようになります。

子どもは同じような行動を取っていても、その内容は日々進化しています。「同じものを探し」「比較し」「分ける」。この3段階は、大人が日々使っている能力の土台となるものです。まさに「知性の芽生え」と言えるでしょう。
そうした背景を知らずに中断させてしまう親と、心行くまでやらせてあげられる親の差が、子どもの成長に大きく影響してくるのです。

③言語の敏感期(爆発期)

3歳が近づくと、言葉がたくさん出てきます。「世の中のものにはすべて名前がある」ということに感動を覚え、それを自分の声で表現したいという強い欲求に駆られます。
これを「言語の敏感期・爆発期」と言います。
「これなぁに?」と、指をさしながら聞いてくるのもこの時期です。一日中問いかけられると、「しつこいなぁ」と感じることもあるかもしれません。しかし、こうした質問に答えた言葉が、子どもの脳に半永久的に定着するのです。
こんな、チャンスはありません。
「この花はコスモスっていうのよ。秋に咲く花だから漢字で書くと、秋の桜って書くのよ」といった感じで周辺知識も一緒に教えてあげましょう。子どもの脳の成長を促すには、疑問に思った瞬間がチャンスです。


このように、子どもは3歳を境に大きく変化していきます。
ぜひ、お子さまの変化を見守り、楽しんでください。

藤崎達宏 プロフィール

日本モンテッソーリ教育研究所認定教師(0~3歳)
国際モンテッソーリ教育協会認定教師 (3~6歳)

外資系金融機関に20年勤務したのちに独立。自らの4人の子育て経験とモンテッソーリ教育を融合した子育て講演会を全国で展開している。 幼稚園、保育園から全国の医師会まで、週末のほとんどが、講演と個別の子育て相談でうまる人気講師。

著書「モンテッソーリ教育で子どもの本当の力を引き出す」は、モンテッソーリ教育の入門書としてベストセラーとなり、台湾での翻訳出版が決定している。

最新作「0~3歳限定の実践版!モンテッソーリ教育で才能をぐんぐん伸ばす」も、豊富な写真とイラストを取り入れた、子育てガイドブックとしてAmazon幼児教育ランキングで1位を記録している。

You Tubeチャンネル「モンテッソーリ教育TV」公開中!
すきま時間でモンテッソーリ教育の本質を効率的に学ぶことができます。コラムの予習・復習にもご活用ください。