オリックス生命

子どもから学ぶ「モンテッソーリ教育」

「モンテッソーリ教育で、子育ての予習」

第9回

「ほめ方」「叱り方」
知っておきたい3つのポイント

前回は「子どもの成長のサイクル」について紹介しました。この成長のサイクルが回り始めれば、親や教師は見守っているだけで、子どもたちは新しいことに挑戦し、自らの力で成長していきます。
しかし、このサイクルが滞っている時には、ちょっとした「潤滑油」が必要です。それが、今回のテーマ「ほめる」と「叱る」になります。

ほめ方

●モンテッソーリ教師は子どもをほめない?
いきなり真逆のことを言うようですが、私たちモンテッソーリ教師は子どもをほめません。なぜならば、子どもは、大人にほめられたくて活動しているわけではないからです。

子どもは自分の成長の課題を本能的に知り、自分で選択し、集中し、最後までやり遂げるという、とても「崇高」な活動をしています。ですから、無条件にほめるということは、子どもに対して「失礼」だと考えるのです。

しかし、最近は「ほめる子育て」が主流になり、「子どもを伸ばすほめ方」なる本もたくさん出ています。少子化の昨今では、両親や祖父母からの、過剰なほめ合い合戦が繰り広げられています。子どもや孫が何かをするたびに、拍手喝さい、大盛り上がり!子ども自身はキョトンとしています。

「ほめ方」の3つのポイント
①「ほめる」と「おだてる」の違い

大人がしてほしい活動を子どもがしたときに、また同じ行動をしてほしいがために、過剰にほめる。これを「おだてる」と言います。おだてられて育った子どもは、大人の見ているときしかその活動をしなくなり、自主性に欠けるようになります。 人の評価によって支えられている自信は「自己肯定感」とは違います。これでは、成長のサイクルは停止してしまいます。どうしたら良いのでしょうか?

②「認める」ということ

子どもは自ら選んだ活動を、最後までやり終えた時に、満足感に満ちた素敵な顔をします。親や、教師はこの瞬間を見逃さずに「見ていたよ!ひとりでできたね!最後までがんばったね!」と認めてあげるだけで良いのです。
ある歴史あるモンテッソーリ幼稚園を視察させていただいた時のことです。30人の異年齢の縦割り保育のクラスを、担任の先生一人で見ていました。子どもたちは、それぞれの場所で、さまざまな活動をしていました。先生は教室の中央に座っているだけです。子どもたちは活動ができあがると、先生のところに嬉しそうに見せに来ます。しかし、その先生はほめません!その代わりに一言「良かったね!」と心からの笑顔で認めてあげます。子どもは満足そうに、また次の活動に取り掛かります。なんて、素晴らしい光景でしょうか。「あなたがやりたい行動を、自分で選んで、自分で最後までできて、よかったね!」と、人間として対等に接している関係がそこにはあったのです。

③「共感」の大切さ

この先生の笑顔は、子どもの心によりそう「共感」が源にあります。共感してもらうことで子どもは「そうか、ひとりでできたことがえらいことなんだ。そのことを見守ってくれている人がいて、自分のがんばりを喜んでくれる人が必ずいるんだ!」と感じ、この経験が「自己肯定感」と「社会に対する肯定感」につながるのです。


叱り方

●「叱る」必要性とは
実は、モンテッソーリ教育の中に「叱る」という概念はありません。ですので、ここから先は私自身の父親の意見として捉えていただければと思います。

子育ての中で「叱る」ことは必要だと私は思っています。わが子がこの先の人生を生きていく上で、「このことだけは、どうしても伝えておかなくてはならない」「この行動だけは、ここで正しておかなくてはならない」という大切な価値観を真剣に伝えることが「叱る」ということなのだと思います。

ですから、叱る時は真剣に叱らないと、子どもに対して失礼だし、無責任なことなのです。

「叱り方」の3つのポイント
①「叱る時は厳しく」

子どもはその大人の真剣さや、顔の厳しさ、声の大きさで「これはしてはいけない事なんだ、これは危険な事なんだ!」ということを感じ取ります。これを「社会的参照」と言います。いつもは優しいママだからこそ、形相を変えて、強い口調で叱られて初めて「赤信号では危ないから止まらなくてはいけないんだな!」と理解し、社会のルールや秩序が身についてくるのです。

②「叱る時はその場で」

子どもは今、この時を生きています。特に3歳までの子どもは、意識的に記憶することができないので、その場で叱らないと効果がありません。
家に帰ってきてから「○○ちゃん!さっき、道路に急に飛び出したでしょ。車が来ていてとても危なかったのよ!わかる?」などと後で叱っても、子どもはなんのことやら、ポカンとしています。ですので、叱る時は、タイミングよく、その場で叱ることがポイントなのです。

③「叱る時は短く」

理論立てて、さとすように叱る親が多いのですが、あまりに理屈で説得を続けていると、子どもは「なんで駄目なの?」と屁理屈をこねるようになります。まだ理論が判らない子どもには「ダメなものはダメ」という強いスタンスも必要です。正しいことであれば、時がたち、成長した時に「だからお母さんはあんなにダメって、何度も言っていたんだ」と後から気付くこともあります。それも、教育だと考えています。そして、ダラダラと長く叱ることは逆効果になります。あまりに長いと、最初の内は反省していても、だんだん、何で叱られているのかわからなくなってくるのも子どもなのです。


今回のポイント

①ほめる時には「おだてず・認め・共感する」

②叱る時は「厳しく・その場で・短く」

ぜひ、今日からの子育てに役立ててください

藤崎達宏 プロフィール

日本モンテッソーリ教育研究所認定教師(0~3歳)
国際モンテッソーリ教育協会認定教師 (3~6歳)

外資系金融機関に20年勤務したのちに独立。自らの4人の子育て経験とモンテッソーリ教育を融合した子育て講演会を全国で展開している。 幼稚園、保育園から全国の医師会まで、週末のほとんどが、講演と個別の子育て相談でうまる人気講師。

著書「モンテッソーリ教育で子どもの本当の力を引き出す」は、モンテッソーリ教育の入門書としてベストセラーとなり、台湾での翻訳出版が決定している。

最新作「0~3歳限定の実践版!モンテッソーリ教育で才能をぐんぐん伸ばす」も、豊富な写真とイラストを取り入れた、子育てガイドブックとしてAmazon幼児教育ランキングで1位を記録している。

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すきま時間でモンテッソーリ教育の本質を効率的に学ぶことができます。コラムの予習・復習にもご活用ください。