「ITと業務部門は事業を動かす両輪」——役割の壁を壊し、共創で価値を生むオリックス生命の働き方

ビジネスの現場でしばしば課題として語られる、IT部門と業務部門の連携。オリックス生命では、かつて役割が明確に分かれていた両部門が、今では事業を動かす「両輪」として、互いに不可欠な存在となり、一体となって事業を推進しています。
これまでの知識や経験だけでは乗り越えられない課題を前にしたとき、その突破口を開くのは、人と人、組織と組織の「関係性の質」なのかもしれません。
その変革の中心には、キャリア入社した一人の社員による「一歩踏み出す」という行動がありました。
今回は、アプリケーション開発第三部 顧客支援チームのTakafumi N.さんと、セールスツール部 営業システムチームのMiyoko Y.さんに、部門を越えた理想的な関係はいかにして築かれ、どのような価値を生み出してきたのか、その軌跡を伺います。

「強みを生かし合う、良き理解者」部門を越えた協力関係

——本日はお時間をいただきありがとうございます。まず、お二人が所属されている部署の概要と、現在の業務について教えてください。

Takafumi N.:アプリケーション開発第三部 顧客支援チームのTakafumi N.です。主に代理店向けの営業支援システムの保守開発を担当しています。

Miyoko Y.:セールスツール部 営業システムチームのMiyoko Y.です。私たちのチームは、Takafumi N.さんたちが開発されている代理店向けの営業支援システムを所管し、業務部門側の窓口を担っています。主に、設計・申込システムや、代理店がお客さまに情報提供するためのポータルサイトの運営などを担当しています。

——具体的には、普段どのようにコミュニケーションを取りながら、業務を進めていらっしゃるのでしょうか。

Takafumi N.:設計・申込システムの改修や、代理店向けポータルサイトの改善などで、日々コミュニケーションを取りながらともに業務を進めています。例えば、業務部門に寄せられる改善要望などを連携いただき、システム要件に落とし込んで実装するといった対応です。私たちのオフィスは、大手町・池袋と物理的に離れているため、互いの場所で飛び交う情報に差が生まれがちです。そのため、直接顔を合わせた際やチャットなどを通じて、「今、私の部署ではこんな話題が上がっていますが、ご存知ですか」といった情報交換を頻繁に行っています。そうした何気ない会話から、「その話は、私たちが担当するシステムに影響があるかもしれませんね」と課題を先回りして捉え、ともに対応を考えることも多いです。

Miyoko Y.:日頃から情報交換を密にし、お互いが持つ情報を共有することで、同じ解像度で物事を捉えられるように意識しています。同じシステムを作る仲間として、常に同じ方向を向いていたいのです。

——ありがとうございます。開発を担うIT部門と、企画・運営を担う業務部門として連携されているのですね。現在の両部門は、お互いにとってどのような存在だと感じていますか。

Miyoko Y.:まさに「強みを生かし合う、良き理解者」という言葉がしっくりきます。業務部門とIT部門という立場こそ違いますが、支え合いながら一緒にゴールをめざしている実感がありますね。

Takafumi N.:同感です。業務のプロフェッショナルと意見を交わしながら、ともにより良いものを創り上げている感覚です。

「同じ会社の仲間として」——IT担当者が起こした静かな革命、そのはじめの一歩

——今でこそ強固な協力体制を築かれていますが、Takafumi N.さんが入社された2020年当時は、コロナ禍という社会的な変化も相まって、今とは少し状況が異なっていたそうですね。

Miyoko Y.:そうですね。当時は、まず業務部門である私たちが要件を考え、それをIT部門に実装してもらう、という役割分担で進めていました。加えて、コロナ禍でリモートワークが中心になり、IT部門の担当者が変わったタイミングも重なりました。担当者との信頼関係が構築できていない状況下での旧来のやり方は、意図が伝わりにくく、コミュニケーションのあり方に課題を感じていた時期でした。

Takafumi N.:私も入社当時は、業務側から提示された要件を、いかに正確に、そして安定して実現するかが、IT部門に求められる最大の価値だと考えていました。一方で、それは業務側の皆さんにすべてを委ねることでもあり、今思えば、ITとして自ら考える余地を狭めていた面もあったと感じます。

——当時は、要件を作る側と、それを忠実に実現する側という線引きがあったのですね。その関係性は、どのようにして変わっていったのでしょうか。

Takafumi N.:前職のシステム開発会社では、お客さまである事業会社にサービスやシステムを提供する立場で仕事をしていました。その経験から、要望通りに作ったつもりでも「少しイメージと違う」と感じられてしまうケースが起こりうることは、理解していました。リリース直前にその認識のズレが判明し、慌てて対応することも少なくありませんでしたね。
事業会社の一員になったからには、これまでの仕事への向き合い方を変えようと決めていました。これまでは業務部門の立場の方が"お客さま"であり、基本的にはご要望いただいた内容を自分なりに咀嚼し、アウトプットすることが役割でした。その中で、意図や背景が十分共有されないまま進むことで、コミュニケーションギャップが生じることも少なくないと感じていたこともあり、これからは"お客さま"ではなく、同じ会社の仲間として「なぜ作るのか」という目的を共有しながら、ともに価値の最大化をめざす。そんな関係を築きたいと考えていました。
ただ、当時はコロナ禍でリモートワークが中心。IT部門と業務部門は拠点も離れており、意識しなければコミュニケーションが取りづらい状況でした。このままではいけないと思い、上長に相談し、週に1度、Miyoko Y.さんたちのオフィスへ足を運ぶことにしたんです。

——その行動が、変革の第一歩だったのですね。

Takafumi N.:はい。特に用事があるわけではないのですが、近くの席に座らせてもらって。まずはお互いにコミュニケーションを取りやすい関係性を作ることが目的でした。当初は保険の知識がなかったので「いろいろ教えてください」というスタンスで話しかけ、徐々に雑談もできるようになっていきました。

——その行動を、Miyoko Y.さんはどう感じていましたか?

Miyoko Y.:IT部門の方が用事もないのに一日中私たちのオフィスにいる、というのは今までなかったので、「この人は、自分からコミュニケーションをとろうとしているぞ」というのが第一印象でした。隣にいてくれると、些細なことでもすぐに話しかけられるので、私だけでなくチームのメンバーも「すごく相談しやすい方だ」と感じていたと思います。IT部門との関係性がより良くなるかもしれない、という予感がありましたね。

「業務のプロフェッショナルから直接聞くことが、ITの品質を変える」50名以上が参加した勉強会

——Takafumi N.さんの行動をきっかけに、少しずつ関係性が変化していったのですね。その中で、連携を象徴するような出来事があれば教えてください。

Takafumi N.:入社して1、2年が経った頃、開発を依頼しているパートナー企業が切り替わるタイミングがありました。IT部門の社員もパートナー企業の担当者も過渡期にある中で、業務や商品に関する理解が十分でないまま開発を進めると、コミュニケーションの齟齬や成果物の品質低下につながりかねないと懸念していました。そこで、Miyoko Y.さんのチームに講師をお願いし、パートナー企業向けの勉強会を企画できないか相談したんです。

——なぜIT部門からではなく、業務部門のMiyoko Y.さんに講師を依頼したのでしょうか。

Takafumi N.:私がパートナー企業の方々に業務内容を説明することはできますが、それはどうしても表面的な理解にとどまってしまいます。業務のプロフェッショナルであるMiyoko Y.さんたちから、なぜこの業務が必要で、どういう背景でこの要件に至っているのか、といった本質を体系的に伝えてもらうことが、私を含めた開発メンバー全員の意識改革、ひいては品質向上につながると考えたのです。

——そのお願いができたのも、普段からコミュニケーションを取り、相談しやすい関係性が築けていたからこそですね。Miyoko Y.さんは、その依頼をどう受け止めましたか?

Miyoko Y.:率直に、頼ってもらえて嬉しいというのが第一印象でした。私たち業務部門としても、システムの背景をきちんと理解した上で、正しいシステムを作ってもらいたいという思いが常にあります。背景を知っているかどうかで、質問の質や解決策の幅が大きく変わってきますから。業務部門、IT部門、パートナー企業の方々は、同じシステムを作る「仲間」です。私たちの知識がその一助になるのならと、チームを挙げて協力することにしました。

——勉強会は大きな反響があったそうですね。

Takafumi N.:当初は私のチームとパートナー企業の皆さんだけの小規模なものを想定していましたが、上司に相談したところ「ぜひIT部門全体に広げてほしい」と後押しされまして。正直、どれくらい集まるか不安でしたが、蓋を開けてみれば1回あたり50名以上が参加してくれ、予想以上の反響に驚きました。IT部門のメンバーも、業務への関心が高かったのだと実感しましたね。

Miyoko Y.:参加者がどんどん増えていくのを見て、驚くと同時に、業務について知りたかったけれど、その機会がなかった方がたくさんいたのだと感じました。この勉強会をきっかけに、担当は違っても、少しだけ垣根を越えられたのかなと思います。

Takafumi N.:この勉強会は一過性のもので終わらず、録画データを新しくチームに加わったメンバーの研修に活用しています。継続的な価値を生み出せている点でも、Miyoko Y.さんたちにお願いして本当に良かったと感謝しています。

システムの壁を越え、お客さまのために挑んだイレギュラー案件

——勉強会を機に、お互いの連携はさらに深まっていったのですね。

Miyoko Y.:はい。以前は、私たちが作った要件書を渡すところからスタートしていましたが、最近ではその前段階、構想がまだ固まりきっていないうちから「この案件は会社としてこういう位置づけで…」とTakafumi N.さんに相談するところから始めています。その上で役割を分担しながら進めていくスタイルに変わってきました。

Takafumi N.:案件の目的や背景といった源流を理解することで、私たちIT部門の視点も変わってきます。業務要件だけを見ていては気づけなかった改善点に気づき、それを業務部門にフィードバックして、ともにブラッシュアップしていく動きが加速していると感じます。

——まさに共創ですね。その強固な信頼関係があったからこそ、対応できた案件もあったと伺いました。

Miyoko Y.:あるとき、既存のシステムではどうしても対応できないイレギュラーな案件が発生しました。通常であれば諦めなければならないのですが、お客さまが困っている状況をなんとかしたいという思いがありました。Takafumi N.さんにお願いするのは心苦しい気持ちもありましたが…「それでも、まずは相談してみよう」と、思い切って相談してみたんです。

——そのご相談を受けて、Takafumi N.さんはどう思いましたか?

Takafumi N.:お客さまが困っている、なんとかしたい、というMiyoko Y.さんたちの想いを聞いて、これこそ、私が「事業会社で成し遂げたかったこと」だと直感しました。システムの先にいるお客さまに対して、自分たちがどのように貢献できるのか。その問いに正面から向き合い、実践できる機会だと感じました。困難な対応ではありましたが、挑戦できて本当に良かったと思います。

Miyoko Y.:無事に対応ができた後、そのお客さまを担当する営業担当者からもお礼をいただき、とても嬉しかったです。もし相談する相手が違っていたら、実現できなかったかもしれません。Takafumi N.さんには本当に感謝しています。

——最後に、今後の展望についてお聞かせください。

Miyoko Y.:「システムを通してお客さまに価値を届ける」という共通のゴールに向かい、業務部門とIT部門、互いの知識や意見をぶつけ合いながら、これからもより良いものを共創していきたいです。「お客さまのためにより良いものを」という情熱を共有できる方々と、これからも一緒に働けると嬉しいです。

Takafumi N.:ITの技術や経験はもちろん重要ですが、それ以上に、その経験をどう生かしてビジネスの価値を創造していくかが大切だと考えています。事業会社として、IT部門と業務部門がそれぞれの責任を果たしながら、垣根を越えて協働し、新しい価値を創出していきたい。そうしたチャレンジに共感してくださる方と、ぜひ一緒に働きたいですね。

  • 記載内容は2026年2月時点のものです