死亡保険の「掛け捨て型」と「貯蓄型」どちらを選ぶ?
死亡保険は、「掛け捨て型」と「貯蓄型」の2種類がありそれぞれにメリットもあればデメリットもあります。「掛け捨て型」保険と「貯蓄型」保険それぞれの特徴と、メリット・デメリット、どんな人が向いているかについて解説します。
死亡保険の「掛け捨て型」と「貯蓄型」の特徴・違い
死亡保険は、「掛け捨て型」と「貯蓄型」に分けられます。主な特徴は以下のとおりです。
「掛け捨て型」保険と「貯蓄型」保険の特徴
「掛け捨て型」保険の主な特徴は、一定期間の保障を割安な保険料で備えられるところにあります。保障に特化しているため貯蓄機能はありません。そのため、保険期間が満了になっても受取れる満期保険金はなく、また途中で解約した場合の解約払戻金はないか、あってもごくわずかです。「掛け捨て型」保険には、一定期間の死亡や高度障害を保障する定期保険と、その定期保険の一種である収入保障保険などが含まれます。
「貯蓄型」保険の主な特徴は、資産形成をしながら保障を備えられるところにあります。一生涯を保障する終身保険、満期までを保障する養老保険、学資保険などがあります。「掛け捨て型」保険に比べると保険料が高めに設定されていますが、満期のある場合には満期を迎えると保険金を受取れます。また、保障が不要になったときは保険期間の途中で解約をすると解約払戻金が受取れます。
「掛け捨て型」保険のメリットとデメリット
保険料が低めに設定されている「掛け捨て」型保険ですが、メリットもあればデメリットもあります。その特徴をよく理解したうえで、加入を検討しましょう。
「掛け捨て型」保険のメリット
- 保険料負担を抑えられる
- 少ない保険料で大きな保障を備えやすい
- 保障の見直しがしやすい
「掛け捨て型」保険は、「貯蓄型」保険に比べて保険料が低く設定されています。そのため保険料をできるだけ抑えたい人や、合理的に大きな死亡保障を備えたいと考える人にとって利用しやすくなっています。また、更新型の定期保険では、保険期間が満了したタイミングで保険契約を更新するか選ぶことができます。更新する場合は持病や既往歴があったとしても新たな告知や診査なしで保障を継続することができます。
「掛け捨て型」保険は保険料が「貯蓄型」保険に比べて保険料が低いだけでなく、保障の見直しがしやすいことがメリットです。どのような保障であってもライフステージの変化に合わせて定期的に見直すことが大切です。「掛け捨て型」保険は保険期間が一定のため、保障が途切れるタイミングで自然と保障を見直す機会を持つことができます。ライフステージの変化に柔軟に対応したい場合には、更新型の「掛け捨て型」保険を活用しましょう。
- ※定期保険には更新型でないタイプもあり、その場合は保険金額の減額・増額ができる場合があります。
「掛け捨て型」保険のデメリット
- 保険期間が満了すると保障がなくなる
- 更新時に保険料が上がる
- 解約払戻金や満期保険金がない
「掛け捨て型」保険の代表例として一定期間を保障する定期保険があります。定期保険は保険期間内に一定の条件(死亡・高度障害)に該当すれば保険金を受取れますが、保険期間が満了すると保障はなくなります。更新型の定期保険の場合、保険契約の更新ができますが、更新時の年齢で新たに保険料を計算するため、保険料が上がります。
また、「掛け捨て型」保険は保険期間中に解約しても解約払戻金はないか、あってもごくわずかです。保険期間が満了しても満期保険金はありません。
「貯蓄型」保険のメリットとデメリット
解約払戻金や満期保険金が魅力の「貯蓄型」保険ですが、メリットもあればデメリットもあります。その特徴をよく理解したうえで、加入を検討しましょう。
「貯蓄型」保険のメリット
- 解約払戻金や満期保険金がある
- 契約者貸付が利用できる
- 終身保険の場合、保障が一生続く
「貯蓄型」保険では、保障が不要になった場合、解約すると多くの場合で解約払戻金が受取れます。養老保険のように保険期間が決まっているものは満期を迎えると満期保険金を受取ることができます。
また、「貯蓄型」保険は商品によって契約者貸付が利用できる場合があります。契約者貸付とは、保障内容はそのままで、解約払戻金の一定範囲内でお金を借りることができる制度です。 保険を解約すると保障はなくなってしまいますが、契約者貸付を利用すれば保険を解約せずに資金準備ができます。ただし、契約者貸付には会社所定の利息がかかるため慎重に検討しましょう。また商品によっては利用できないため事前に確認が必要です。
「貯蓄型」保険のうち終身保険は保障が一生涯続くため、いつ亡くなっても必要となる葬儀費用などの資金準備に向いています。
「貯蓄型」保険のデメリット
- 保険料が高めに設定されている
- 大きな保障を備えると保険料負担が重くなる
- 短期解約すると払込んだ保険料よりも解約払戻金が少なくなるおそれがある
「貯蓄型」保険は死亡保障と資産形成を兼ね備えるという性質上、保険料が高めに設定されています。小さな子どもがいる家庭などで大きな死亡保障が必要な場合、すべて「貯蓄型」保険で保障を備えると、保険料負担が重くなります。
また、「貯蓄型」保険は解約のタイミングによっては払込んだ保険料よりも解約払戻金が少なくなる可能性があります。契約後、短期間で解約した場合の解約払戻金は、ないか、あってもごくわずかです。「貯蓄型」保険への加入を検討する場合は、意図しないタイミングでの解約を避けるためにも保険料が家計の負担にならないか確認しておきましょう。
死亡保険は目的に合わせて選ぶ
死亡保険は加入目的によって、選ぶべき保険商品は変わります。ここでは目的別に「掛け捨て型」と「貯蓄型」のどちらがおすすめか紹介します。
(1)保険料負担を抑えて、家族のために生活費や教育費をのこしたい人
大切な家族が増えて、保障の上乗せをするときには「掛け捨て型」保険がおすすめです。結婚したときや子どもが産まれたときは必要保障額が増えると言われています。しかし、車や家のローン返済、教育費など目の前の暮らしにお金がかかるため、保険料負担をなるべく抑えたいという方も多いでしょう。「掛け捨て型」保険なら、家計の負担を抑えながら必要な保障を備えることができるので、現在の暮らしも充実させることができます。
(2)保険料負担を抑えて、保険以外の金融商品で資産形成したい人
NISAやiDeCoなどの制度を使って資産形成を行いたい人や保障と貯蓄を分けて準備したい人は、「掛け捨て型」保険を選ぶことで投資や貯蓄に回す資金を用意しやすくなるでしょう。
(3)保障を備えながら資産形成もしたい人
万一のときのために死亡保障も備えつつ、資産形成もしたいという方には「貯蓄型」保険が向いています。例えば、「老後の生活資金を準備したい」や「子どもの教育資金を準備したい」など、目的に合わせて計画的に資産形成したい人には「貯蓄型」保険がおすすめです。
(4)葬儀費用を準備したい人
葬儀代や死後の整理資金、老後資金の不安に備えたい場合には、「貯蓄型」保険が向いています。「貯蓄型」保険の一つである終身保険は、保障が一生涯続きます。そのため、解約しない限り必ず死亡保険金を受取れます。死亡保障が不要になって保険期間の途中で解約した場合には、解約払戻金を受取り、老後資金として活用することもできます。
死亡保険に加入する目的を改めて確認する
「掛け捨て型」保険は、保険料の負担を抑えながら必要な保障を備えたい人に向いています。解約払戻金や満期保険金はありませんが、割安な保険料で大きな保障を備えられ、更新のタイミングで保障を見直しやすいというメリットもあります。「貯蓄型」保険は、保険料は高めですが、万一の死亡保障と資産形成を兼ね備えることができます。加入目的や家計の状況を確認し、自分に合った死亡保険を選ぶことが大切です。